2015/12/08

ESO 168.5 幕間

【巨人シンマーと蟲の教団を撃退したことを祝うヨラン王の祝宴の場にて】


「おう、こんな所にいたか」
 静かに二人で飲み交わしていたリヴィーネと灰の中を歩む者ウォークス・イン・アッシュがよく知った声に振り向くと、そこには既に大量の蜂蜜酒を飲んだであろうホルガンが千鳥足で立っていた。
「飲み過ぎではありませんか、ホルガン」
「堅いことを言うな、ウォークス。お前達こそ飲んでいるのか?」
「アルゴニアンはアルコールにも耐性がありますから酔わないだけです」
「全く。お前が酔っ払うのを見てみたいものだ!」
 ホルガンがふらふらとして今にも倒れそうなのを心配し、ウォークスはホルガンを自分とリヴィーネの間に座らせた。リヴィーネは横にずれ、彼が座るのに十分なスペースを提供した。
「巨人の亡霊を倒した偉大なる王に乾杯!」
 蜂蜜酒がつがれたジョッキを高らかに空へ向け、ホルガンは叫んだ。
 酔っ払いに逆らうのは愚と思い、リヴィーネとウォークスも控えめにそれに倣った。
「パクトの英雄に乾杯!」
 次にホルガンはリヴィーネに向けてジョッキを掲げた。
「……私ですか?」
「他に誰がいる? ストーンフォールズの英雄にして、アルマレクシアの手にして、シャドウフェンの救世主にして、王の矢にして、伝説の巨人殺し! これを英雄と呼ばずして何と呼ぼうか!」
「これについては同意します。あなたはパクト全土における英雄ですよ。あなたと共に戦えて光栄です」
「はあ、ありがとうございます」
 ホルガンに注がれた蜂蜜酒が溢れる前に彼の手を樽から離しつつ、リヴィーネは二人に曖昧に礼を述べた。
「それでリヴィーネ、あなたはこれからどうするつもりなのですか?」
「私はコールドハーバーに向かいます。モラグ・バルの企みは止めなければなりませんから。あなたは?」
「今度こそ故郷へ戻ろうかと思っていましたが、考慮しなければならないことができました」
「そうですか」
「俺か? 俺はなあ――」と聞かれていないにもかかわらず、ホルガンは大きなあくびをしながら答えた。
「これからデヴォンズ・ウォッチにとんぼ返りだ。ダンマーの大家というもんは、何で一つのことを決めるのにもクソ長い時間がかかるんだ? 今日はソブンガルデへ行く良い機会になると思ったんだが。タンヴァルに文句を言ってやるのはまだまだ先になりそうだ」
 あの人はソブンガルデにはいないと思います、と言うほどリヴィーネは無粋ではない。その代わりに「あなたは長生きしてくださいね」と頼み、注がれた蜂蜜酒に口をつけた。なぜかほろ苦い味がした。

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