2015/10/10

ESO 55 行方不明者と疫病(後編)

【リヴィーネの手記】


 町は封鎖されつつあったが、私は評議員から町を自由に出入りする権利をもらっていたので無事に中に入ることができた。



 kinhouseではVaron Davelという人物に迎えられた。
 どこかに情報源があるらしく、彼はGironがMaulbornと繋がりのあることを疑っていた。そしてGironが評議員を拉致したことで、推測は確信となったようだ。
 彼らの組合は契約にないことは基本的にやらないそうだが、それでもお互いに助けあうことはできると言われた。
 GironとRalden評議員の居場所は彼にも分からないようだった。見つける方法はないかと尋ねたところ、村人達の中に、現在起きている問題について自分達の手で解決しようとする一団ができていると教えてくれた。彼らが何か情報を持っているかもしれないと。
 彼らのリーダーであるSlip-Through-Fingersと話してみることとする。Varonは、私の活躍の話はNarsisに広まりつつあるので、あちらの方から声をかけてくるだろうと請け合った。




 kinhouseの前にて、荷物を落としてしまったふりをしているアルゴニアンの女性がいた。
 彼女の荷物を親切にも拾ってあげるふりをしながら、私達は小声で会話をした。
 彼女Slip-Through-Fingersは、評議員も含めていなくなった人々がどこにいるのかを知っていると言った。
 彼女のカバンの中には私宛の手紙が入っていたので衛兵などの人目につかないようにそっと取り出し、彼女と別れてから読んでみた。
 手紙には、彼女らとコンタクトを取る手段として、「空に目をやるな、星を追え。彼女が鍵だ。彼女があなたを導くだろう」と書かれていた。
 目を上げると、星型の飾りがついた首輪をした美しい猫がいた。なるほど。




 よく訓練された猫のようだ。首輪には銀色の鍵も付いていた。
 それを取ると、猫は可愛らしく小首を傾げた。まるでついて来てとこちらに呼びかけているかのようだった。
 猫が走り出したので追うと、一軒の民家に案内してくれた。
 その家の中では既に秘密の会合が始まっており、「自分達の手で誘拐された家族や友人を取り返そう」と意気込んでいるようだった。
 会合に参加している人々は、熱気と、何もしてくれないHlaalu家に対する反発を積もらせていた。
 Slip-Through-Fingersは、Maulbornにより彼女の卵の姉妹(egg-sister)が連れ去られていくのも、同じ場所にRalden評議員と助言者のGironが入るのも見たという。
 Madrasと話して作戦の詳細を聞くよう求められた。




 演壇で熱い弁舌を振るっていたMadras Tedasは、最初はよそ者である私が何を目論んで協力しようと言っているのか怪しんでいたが、協力したいのだとどうにか説得した。
 彼らの計画は、武器を取り、封鎖を無視し、囚われの人々を助けに行くというものだった。封鎖を無視しようとすれば衛兵と戦闘になる。衛兵に武器を向けるのは得策ではないと話したが、彼らの熱狂は抑えられそうになかった。
 Maulbornは素人の集まりではない。戦闘の訓練を積んでいる者が大勢いる。ただの田舎者が挑んでも全員殺されるのが落ちだと、わざと挑発的な言葉を用いて、全てを私一人でこなしてみせると説得しようとした。
 だが、私の言葉は届かなかった。よそ者は信用されにくいものなのだということを今更ながら思い出す。




 この秘密の会合を密かに監視していたらしきSergeant Rila Lenithに、会合で聞いたことと、Madrasらは行方不明の村人達がどこにいるのかを知っているようだが、私には場所を教えてくれなかったことを伝えた。
 彼女も私と同じく、彼らが武装蜂起してもただ殺されるだけだという意見に同意してくれた。何とかして止めないと。
 軍曹と話をして、Madrasらが馬鹿なことをしないうちに私達で行方不明の村人達を救い出すしかないとの結論に至った。
 そのためには、行方不明者がどこにいるとMadrasらが考えているのかを知らなくてはならない。だがその前に、Madrasらの作戦を遅延させる必要があると彼女は言う。
 遅延の方法はネズミだ。Llodos plagueの感染源はネズミだと人々は考えているらしい。それを利用する。ネズミをたくさん集めてこの会合場所に放てば、会合を中断する大騒ぎが起こるだろう。
 私がネズミを集めている間に、Rilaは行方不明者の居場所をMadrasらから聞き出してみるよう努力してくれるそうだ。




 どうもネズミは大量に発生しているようで、すぐに十分な数を集めることができた。ナイトブレードの素早さはネズミのすばしっこさに勝るのだ。




 ネズミを家に放ってから少し経つと、慌てた様子で村人達は家から逃げ出していった。
 よし、これで時間が稼げただろう。
 Rilaは行方不明者の居場所を聞き出せたようだ。ただしここでは話せないので、kinhouseでということになった。そこに必要な鍵もあるらしい。




 kinhouseではVaron Davelが私を待ち構えていた。
 行方不明者の居場所を知っている協力者を得たことを話すと、彼は仲間のNaryuからも同じ情報を得ていると言った(やはり同じ組織の人だったのね)。
 Varonは、Hlaalu家の衛兵を集め、私のサポートにつけてくれると言った。
 Varonに一体あなたは何者なのかと尋ねてみたが、やはり返事ははぐらかされた。MaulbornにNarsisを破壊させないための協力者であるというのは保証してくれたけど。
 彼とMaulbornが何なのか、少し話してみた。
 Maulbornは利他主義の組織を騙っているが、無論それは偽りだ。疑いようもなく軍事的な教団である。私が見つけた手紙によればVoxなる人物が組織に深く関与しているようだが、その正体は未だ不明。




 Sergeant Rila Lenithは約束通り鍵をくれ、行方不明者の場所を教えてくれた。彼らは町の西にある遺跡に閉じ込められているらしい。




 遺跡の中には村人の死体が溢れており、Maulbornの武装した研究員が何人かいた。あの疫病の毒の製法に「死体の血液」とあった時点でこのような事態は予測できていた。
 ちなみに、「偽りの神を称賛するな」というタイトルの、トライビューナルを偽りの神として批判する文章も置いてあった。

 ここのMaulbornのまとめ役らしきGironを殺し、私は鍵を手に入れた。
 その鍵で開けられた遺跡の扉は、遺跡ではない、普通の家屋と繋がっていた。
 ここも死者だらけのようだ。




 家屋の中には生存者もいくらかいた。評議員も。
 彼はGironの裏切りにあい、死にかけていた。しかしその今際にVoxのことについて教えてくれた。
 Voxという女性がMaulbornのリーダーなのだそうだ。Narsisは(そしてSerkも)始まりにすぎない。彼らはGorgeという場所でLlodos plagueを作り上げており、疫病をMournhold(Mourと言ったところで彼は息絶えてしまったが、Mournholdで間違いないだろう)に広めるつもりらしい。
 それだけ伝えてくれたところで、彼は死んでしまった。




 家屋を出たところでは、鎧を着たVaronが兵士達と共に待ち構えていた。
 Raldenは死んでしまったが、行方不明だった村人の何人かは生きていると伝えると、彼は兵士達に指示を出し、救助に向かわせた。遺跡のMaulbornの残党にも対処してくれるそうだ。
 GironはLlodos plagueを強めるために村人を殺して利用していたこと、彼が湖に疫病の源を混ぜたので湖水は飲めないことを伝えると、Hlaalu家は湖が浄化されるまで誰もその水を飲まないようにさせると請け負ってくれた。
 私も治癒師として負傷者の治療に当たろうかと提案したが、他にやってほしいことがあると言われた。
 Naryuが疫病の創造者について何か手がかりをみつけたらしい。
 Narsisに戻り、彼女と話をしてくれと頼まれた。



 Narsisを封鎖し死体の供給源にしようとするGironの恐ろしい計画はぎりぎりのところで頓挫させることができた。行方不明者の全員を救うことはできなかったが、村人に余計な犠牲者は出なかった。評議員は死んでしまったが、やれる限りはやったと思う。

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